
【2025年版】駐車場にEV充電器は必要?設置数データと規模別の導入戦略を徹底解説
こんにちは!駐車場経営マガジンです!
「最近、街中でEV(電気自動車)をよく見かけるようになったな」
「自分の駐車場にも、そろそろEV充電器を置いたほうがいいのだろうか?」
駐車場オーナー様であれば、このような疑問や期待、そして少しの焦りを感じているのではないでしょうか。
脱炭素社会へ向けて、政府もEV普及を強力に推進しており、駐車場経営において「EV充電設備の有無」が物件の資産価値を左右する時代がすぐそこまで来ています。
しかし、いざ導入を検討しようとしても、「急速充電と普通充電、どちらが良いのか?」「そもそも需要はあるのか?」「コスト回収はできるのか?」といった不安が尽きないのも事実です。
そこで本記事では、最新の業界データや経済産業省のレポートに基づき、以下のポイントを分かりやすく解説します。
- 日本国内におけるEV充電インフラの現状と、驚きの増加目標
- 「急速」と「普通」の違いと、駐車場タイプ別の黄金比率
- あなたの駐車場規模に合った、失敗しない導入の考え方
この記事を読み終える頃には、あなたの駐車場にとって「最適なEV戦略」が明確に見えてくるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
目次
【現状分析】日本国内のEV充電インフラは足りている?設置数と今後の目標
まずは市場の全体像を把握しましょう。「EV充電器はもう飽和しているのでは?」と心配されるオーナー様もいらっしゃいますが、データを見ると「まだまだ圧倒的に足りていない」というのが実情です。ここにビジネスチャンスが潜んでいます。
データで見るEV充電器の設置数と増加傾向
大手EV充電スポット検索サイト「GoGoEV」や経済産業省の資料によると、2024年末〜2025年初頭時点での日本国内の充電スポット数は約3万拠点(充電口数で約4〜5万口)前後で推移しています。
数字だけ見ると多く感じるかもしれませんが、ガソリンスタンドの数(約2.7万箇所)と同程度になったとはいえ、充電には給油以上の時間がかかるため、回転率を考慮するとインフラとしては不足しています。
さらに注目すべきは、政府が掲げる野心的な目標です。
経済産業省は「充電インフラ整備促進に向けた指針」において、2030年までに充電器の設置数を30万口(従来目標の15万口から倍増)にするという目標を掲げました。
- 現在: 約4〜5万口
- 2030年目標: 30万口
つまり、あと5年ほどで現在の約6〜7倍もの充電器を新たに設置しなければなりません。この「空白地帯」を埋めるのは、公共施設だけでなく、皆様が所有する民間駐車場なのです。
なぜ今、駐車場への設置が急務なのか
EV充電には、利用シーンに合わせて3つの区分があります。
- 基礎充電(Home): 自宅や月極駐車場で、夜間に寝ている間に行う充電。
- 経路充電(Route): 高速道路のSA/PAなどで、移動途中に継ぎ足す充電。
- 目的地充電(Destination): 商業施設、ホテル、コインパーキングなどで、滞在中に「ついで」に行う充電。
現在、特に不足が叫ばれているのが「3. 目的地充電」と、マンション居住者向けの「1. 基礎充電」です。
戸建て住宅であれば自宅に充電器を設置できますが、日本の都市部ではマンションや月極駐車場の利用者が多く、「自宅(駐車場)で充電できないからEVを買えない」という層が一定数存在します。
このボトルネックを解消できる駐車場オーナー様は、これからのEV時代において強力な優位性を持つことになります。
基礎知識|「普通充電」と「急速充電」の違いと設置割合
「とりあえず急速充電器を置けばいいんでしょ?」と考えるのは早計です。実は、駐車場の形態によっては急速充電器が「宝の持ち腐れ」になり、逆に普通充電器の方が喜ばれるケースが多々あります。
充電器の種類・出力・充電時間の目安
それぞれの特徴を簡単に比較してみましょう。
| 項目 | 普通充電(200V) | 急速充電(CHAdeMO等) |
| 出力 | 3kW 〜 6kW | 50kW 〜 150kW以上 |
| 充電時間の目安 (満充電まで) | 半日 〜 一晩 (4〜8時間以上) | 短時間 (30分程度で80%) |
| 主な利用シーン | 宿泊、長時間駐車、勤務中 | 高速道路、短時間の買い物 |
| 本体価格 | 安価(数万〜数十万円) | 高額(数百万円〜) |
| 電気契約 | 低圧電力で対応可能な場合も | 高圧契約が必要な場合が多い |
- 急速充電器: ガソリンスタンドのような感覚です。「充電そのもの」が目的のユーザーには必須ですが、導入コストが高く、高圧電力契約(基本料金が高額)が必要になるケースが大半です。
- 普通充電器: コンセントに近い感覚です。スピードは遅いですが、機器が安価で場所も取りません。「駐車している間に勝手に溜まっている」という体験を提供します。最近は、3kWよりも充電速度が速い6kWタイプが主流になりつつあります。
国内における設置割合の現状とトレンド
これまでは「EVといえば急速充電」というイメージが先行していましたが、現在のトレンドは「適材適所」です。
経済産業省の指針でも、高速道路などの「経路充電」には90kW以上の超急速充電器を推奨する一方で、商業施設や駐車場などの「目的地充電」には、6kW程度の普通充電器を大量に設置する方向へとシフトしています。
実際、設置数の増加ペースを見ても、普通充電器の方が圧倒的に伸びています。「1台の急速充電器より、10台の普通充電器」を設置した方が、多くの利用者のニーズ(充電待ちの解消)を満たせるからです。
【規模・タイプ別】あなたの駐車場に最適なEV充電導入戦略
では、あなたの経営する駐車場にはどちらが適しているのでしょうか? 3つのパターン別に解説します。
1. コインパーキング(短時間利用メイン)の場合
おすすめ:エリアと滞在時間による使い分け
- 都心部・繁華街(平均駐車時間が1〜2時間):
ここが最も判断が難しいエリアです。急速充電器を置けば「充電難民」を集客できますが、イニシャルコストとランニングコスト(電気代の基本料金)の回収が課題になります。
最近の戦略としては、中速(20kW〜50kW程度)の充電器を設置し、短時間でもそこそこ充電できる環境を作るか、あるいは「充電はおまけ」と割り切り、6kW普通充電器を設置して「少しでも足せればOK」というユーザーを狙うのが現実的です。
- 郊外・観光地(駐車時間が長い):
普通充電器がおすすめです。観光や食事をしている間に充電完了するため、利用者満足度が高くなります。
2. 月極駐車場・マンション駐車場(長時間利用メイン)の場合
おすすめ:普通充電器(3kW〜6kW)一択
ここでは急速充電器はほぼ不要です。ユーザーは「家に帰ってきて、翌朝満タンになっていればいい」と考えています。
高価な急速充電器を1台置くよりも、全区画(あるいは特定の複数区画)に安価な普通充電コンセントを設置する方が、圧倒的に資産価値が上がります。「EV充電可能物件」として、近隣相場より高い賃料設定や、空室率の改善が見込めます。
3. 商業施設・店舗併設駐車場の場合
おすすめ:滞在時間に応じたミックス戦略
- コンビニ・道の駅: 滞在が短いため、急速充電器が必須です。充電目的の来店(ついで買い)が期待できます。
- スーパー・ショッピングモール: 滞在が1〜3時間程度あるため、6kW普通充電器を複数台設置するのがベストです。急速充電(30分制限)だと、「買い物の途中で車を移動させなければならない」というストレスが発生し、逆効果になることがあります。
駐車場経営にEV充電器を導入するメリットと注意点
最後に、経営的な視点でのメリットと注意点を整理します。
競合との差別化と資産価値の向上
最大のメリットは「Googleマップなどの検索で選ばれるようになる」ことです。
EVユーザーは、目的地を探す際に必ずと言っていいほど「充電設備あり」でフィルタリング検索を行います。充電器があるだけで、競合の駐車場が検索候補から消え、あなたの駐車場だけが選択肢に残るのです。これは広告費をかけずに集客する強力な武器になります。
導入コストと補助金の活用について
導入にはコストがかかりますが、「充電インフラ導入補助金」を活用することで、負担を大幅に減らすことが可能です。
特に現在は、一般開放(誰でも使える状態)にすることで、機器代金や工事費の大部分が補助される制度(CEV補助金など)が充実しています。ただし、補助金の申請には受付期間や要件があるため、タイミングを逃さないことが重要です。
まとめ|EV充電は「設置して終わり」ではない。専門家への相談を
2025年以降、駐車場経営においてEV充電設備は「あったらいいな」から「あって当たり前」の設備へと変わっていきます。
しかし、ただ機械を置けば儲かるというものではありません。「普通か急速か」「課金システムはどうするか」「メンテナンスは誰がやるか」など、専門的な判断が必要です。
まずは、ご自身の駐車場が「どのタイプ」に当てはまり、どのようなEVユーザーをターゲットにできるのか、専門業者にシミュレーションを依頼してみてはいかがでしょうか。
未来の需要を先取りし、選ばれ続ける駐車場経営を実現しましょう。
- 関連記事
- 関連記事はありませんでした





