無断駐車に損害賠償を請求できる?金額の相場・手順・証拠の残し方をわかりやすく解説

無断駐車に損害賠償を請求できる?金額の相場・手順・証拠の残し方をわかりやすく解説

こんにちは!駐車場経営マガジン編集部です!

「無断駐車を繰り返されて、警察に相談したら…

『民事なので対応できません』と言われた」
「泣き寝入りするしかないの?」

——そんな悔しい思いをしているオーナー様は少なくありません。

結論から言えば、無断駐車に対して損害賠償を請求することは法律上可能です。ただし、正しい手順を踏まなければ、逆にこちらが法的リスクを負うこともあります。

この記事では、損害賠償請求の法的根拠から、請求できる金額の考え方、ナンバーからの所有者特定方法、内容証明郵便の出し方、そして絶対にやってはいけないNG行動まで一本で解説します。「泣き寝入り」ではなく、合法的に正しく対処するための道筋を一緒に確認していきましょう。

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1. 無断駐車に損害賠償を請求できる?法的根拠を整理する

▶根拠は民法709条「不法行為に基づく損害賠償」
無断駐車に損害賠償を請求できる法的根拠は、民法第709条です。
条文には次のように定められています。

「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」

私有地に無断で車を駐車する行為は、土地所有者の所有権(使用権)を侵害する「不法行為」に該当します。したがって、土地所有者は無断駐車をした相手に対して、これによって生じた損害の賠償を請求できます。


▶私有地の無断駐車は「民事」——警察が動けない理由
「警察に通報したのに対応してもらえなかった」という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

私有地での無断駐車は、公道上の違法駐車(道路交通法違反)とは異なり、原則として民事上のトラブルとして扱われます。警察は「民事不介入」の原則に基づき、直接的な取り締まりを行わないのが現状です。

ただし、塀や柵で囲まれた敷地への無断侵入は刑法第130条(住居侵入罪)が適用される可能性もあります。事件性があると判断されれば警察が対応するケースもあるため、まずは通報して記録を残しておくことが大切です。

2. いくら請求できる?賠償金の考え方と相場

▶請求できる「損害」の範囲
無断駐車で請求できる損害賠償の範囲は、実際に生じた損害に限られます。具体的には以下のようなものが該当します。

まず、駐車料金相当額です。
月極駐車場であれば月極賃料に相当する金額、コインパーキングであれば周辺のコインパーキング料金に準じた金額が基準になります。

次に、代替駐車場の費用です。
無断駐車によって自分の区画が使えず、やむを得ず別の駐車場を利用した場合、その実費を請求できる可能性があります。この場合、コインパーキングの領収書を保管しておくことが証拠として有効です。

つまり、請求額の基本的な考え方は「その土地で本来得られたはずの駐車料金」がベースです。

月極駐車場であれば「月極賃料×無断駐車された月数」、コインパーキングであれば「周辺の時間貸し料金×駐車時間」で算出するのが実務上の原則となります。

なお、「慰謝料」については、無断駐車のみでは認められにくいのが一般的です。請求の中心はあくまでも実損害であるという点を押さえておきましょう。


▶「罰金○万円」の看板には法的効力がない
駐車場で「無断駐車は罰金10万円」といった看板を見かけることがありますが、このような私的に定めた「罰金」には法的効力がありません。契約関係のない相手に対して一方的に罰金を科すことは、法律上認められていないためです。

看板に抑止効果を持たせたい場合は、「罰金」ではなく「損害賠償を請求します」「法的措置を講じます」といった事実に即した表現にすることが重要です。

3. 損害賠償を請求する4つのステップ

ステップ① 証拠を確保する(写真・記録の残し方)
損害賠償請求の土台となるのが証拠です。参考資料でも強調されているとおり、以下のポイントを押さえて記録を残しましょう。

・ナンバープレートの鮮明な写真(前後両方)
・車種・車体の色・傷やへこみなどの特徴がわかる全体写真
・私有地内に停まっていることがわかる周囲の景観を含む写真
・日時の証明:スマートフォンのGPS機能や時計アプリの画面を一緒に写し込む

さらに重要なのが、時間をおいて複数回にわたり撮影することです。1回だけの記録では「たまたま停めただけ」と反論される余地がありますが、複数回の記録があれば「繰り返し行われている無断駐車」として立証しやすくなります。

あわせて、無断駐車を発見した日時・状況を記録ノートに書き残しておくことも有効です。

「○月○日○時頃、○○区画に白のセダン(ナンバー○○○○)が無断駐車。○時間後に確認したところまだ駐車中」といった記録が積み重なることで、被害の継続性と深刻さを客観的に示せます。


ステップ② ナンバーから所有者を特定する(運輸支局での照会手順)
証拠を確保したら、次は相手の身元を特定します。

普通自動車の場合、管轄の運輸支局で「登録事項等証明書」を取得することで、車両の所有者情報を確認できます。手続きの流れは以下のとおりです。

① ナンバー、車種、色を正確に記録し、証拠写真を準備する
② 「私有地放置車両関係位置図」などの必要書類と身分証明書を持参して運輸支局に申請する
③ 手数料を支払い、証明書を取得する

参考資料によると、手数料は現在事項の証明で300円、詳細な証明で1,000円です。取得までの所要期間は約1〜2週間が目安です。

軽自動車の場合は運輸支局ではなく、軽自動車検査協会での手続きとなる点にご注意ください。


ステップ③ 内容証明郵便で請求する
所有者が特定できたら、内容証明郵便を送付して損害賠償を請求します。内容証明郵便とは、「いつ、誰が、誰に、どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明してくれる制度です。

内容証明郵便の効果は主に2つあります。

ひとつは相手への心理的プレッシャーです。公的な書面で請求されることで、任意の支払いや無断駐車の中止を促す効果が期待できます。

もうひとつは「請求した事実」の証拠保全です。後に訴訟へ発展した場合、「いつ請求したか」を証明する重要な証拠になります。

内容証明郵便の費用は約1,300〜1,500円です。記載する内容としては、無断駐車の事実(日時・場所・車両情報)、損害賠償の請求金額、支払期限、「応じない場合は法的手段を講じる」旨の警告が基本となります。弁護士名義で送付すると、相手に与えるプレッシャーはさらに強まります。


ステップ④ 解決しない場合——少額訴訟と弁護士への相談
内容証明郵便を送っても相手が応じない場合は、法的手段を検討します。

請求額が60万円以下の場合は少額訴訟を利用できます。少額訴訟は原則1回の審理で判決が出る簡易な手続きで、弁護士に依頼しなくても自分で進めることが可能です。

一方、弁護士に依頼する場合の費用について、弁護士の解説によると目安は以下のとおりです。

・法律相談:1時間あたり5,000〜10,000円
・民事訴訟(着手金+報酬金):合計90〜150万円前後

無断駐車の損害賠償額は多くの場合、数万円〜数十万円にとどまります。弁護士費用と比較すると費用倒れになる可能性が高いのが現実です。これが「無断駐車はやったもん勝ち」と言われる理由のひとつでもあります。

だからこそ、まずは内容証明郵便や少額訴訟といったコストの低い手段から段階的に進めるのが現実的な対応です。

4. 損害賠償請求で「やってはいけない」3つのNG行動

無断駐車への怒りは当然ですが、感情的な対応をとると逆にこちらが法的責任を問われるリスクがあります。以下の3つは絶対に避けてください。

▶NG①:タイヤロック・車両の勝手な移動
無断駐車車両にタイヤロックをかけたり、レッカーで勝手に移動させたりする行為は、器物損壊罪や窃盗罪に問われる可能性があります。たとえ自分の土地であっても、「自力救済」(自分の力で権利を実現すること)は日本の法律では原則として認められていません。


▶NG②:感情的な内容の張り紙
「不法駐車車両 ○○ナンバー」と個人を特定する情報を掲示したり、攻撃的な文言を記載したりする行為は、名誉毀損罪や脅迫罪に該当するおそれがあります。張り紙で警告すること自体は問題ありませんが、車体に直接貼り付ける行為も避けてください。


▶NG③:法的根拠のない「罰金」の強引な徴収
「罰金○万円」の看板に法的効力はありません。仮に相手から強引に金銭を取り立てれば、恐喝罪に問われるリスクすらあります。

被害者であるはずの自分が加害者になってしまっては本末転倒です。感情的になりそうなときほど、冷静に証拠を積み上げ、法的に正しい手順で対処することを心がけましょう。

5. 再発を防ぐ仕組みづくり——管理体制の見直しも選択肢

損害賠償の請求はあくまで事後対応です。根本的な解決には、無断駐車を「物理的にさせない」仕組みを整えることが重要です。

物理的な対策の費用目安は以下のとおりです。

・固定式バリカー:1本あたり2万〜5万円
・可動式バリカー:1本あたり3万〜8万円
・カラーコーン:1本あたり約1,000円

これに加えて、防犯カメラを目立つ位置に設置し「防犯カメラ作動中」のステッカーを掲示することで、心理的な抑止効果も期待できます。万が一無断駐車が発生した場合の証拠確保にも直結します。

ただし、これらの対策をすべて個人で導入・維持するのは負担が大きいのも事実です。とくに月極駐車場を複数区画管理しているオーナー様の場合、無断駐車のたびに証拠撮影→ナンバー照会→内容証明郵便→交渉…と対応に追われていては、本業に支障が出かねません。

「証拠の記録から所有者の特定、法的な対応、再発防止策の整備まで、自分ひとりで全部やるのは難しい」そう感じた方は、駐車場管理の専門会社への委託も有力な選択肢です。管理委託を活用すれば、無断駐車への初動対応から日常的な巡回、トラブル発生時の窓口対応まで一括で任せることができます。

まとめ. 「泣き寝入り」しないために正しい手順を知っておく

この記事のポイントをあらためて整理します。

①無断駐車への損害賠償請求の法的根拠は民法709条(不法行為)
②請求できるのは駐車料金相当額や代替駐車場の実費などの実損害
③手順は証拠確保→ナンバー照会→内容証明郵便→少額訴訟の順に段階的に進める
④タイヤロック・感情的な張り紙・私的な罰金徴収は逆に法的リスクを負うため絶対にNG
⑤再発防止には物理的対策と管理体制の見直しが有効

無断駐車は「やったもん勝ち」ではありません。正しい手順で対処すれば、法的に損害の回復を図ることは可能です。一方で、証拠確保からナンバー照会、書面の作成、交渉まで、すべてを個人で対応するには時間的・金銭的・精神的な負担が大きいのも現実です。

「繰り返される無断駐車をなんとかしたい」「トラブル対応に手が回らない」とお悩みの方は、まずは駐車場管理の専門家にご相談ください。現地の状況に合わせた具体的な対策と管理体制をご提案いたします。

違法駐車への具体的な対策を知りたい方はこちら →
私有地の違法駐車を「懲らしめたい」と思ったら?やってはいけない対処法と法的に正しい解決策

監修者情報

駐車場経営マガジン編集部
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